フィリピンの少数精鋭で奮闘する日系IT起業

私(ひろぴー)は誰もが知る日本の大手メーカーに在職しており、フィリピン駐在の任期4年弱を終えて先月、帰国しました。日系の名だたる大企業や世界の有名企業と日々、取引をしていましたが、ここでは最も心に残っている現地の日系IT企業のことをお話しします。日系といっても日本人が経営しているだけのフィリピン法人です。従業員数も10名ちょいの会社で正直、我々のような会社が取引するような企業ではありませんでした。ただ、いろいろな縁もあって数百万円程度の小さい仕事を依頼することになり、1度限りのつもりでした。それが、こんなことになるとは…。

私は現地で品質管理や技術営業などを担当しており、日々膨大なデータやライン業務を半分手作業で処理していました。日本なら数億単位の機械やコンピューターが一瞬ではじく処理をフィリピンではマンパワー業務でこなしていました。
私も最初こそ驚いていましたが、フィリピンでは意外に普通で他社も同じようなにやっていたので、これに慣れかけていました。
そんなとき、弊社と取引のあった現地企業の会長と飲んでいるとき、若い日本人がやってきて会長と話し込んでいるので、一緒に飲むことになりました。これが後々、果てしなくお世話になった会社の社長さんとの出会いです。
彼は若くして様々な経験をしており、イギリス留学から帰国して25歳の若さで単身フィリピンにやってきてIT企業を創ったようです。たった10人程度の会社ですが、顧客には数千億から数兆円企業も顧客にもっており、正直驚きました。

この社長さんにお酒のネタ半分で私の部署で起きている働き方を相談したところ、改善できるか検討させてくださいという返事をいただき、その日は飲んで終わりました。
そして翌週の月曜日(飲みから4日後)に突然、メールが飛んできて「ITを活用した改善案をまとめましたので一度、お会いさせてください」と。その週に弊社へお呼びして改善提案を聞いたところ、確かに素晴らしく、完璧なプレゼンでした。なぜそんな我々の専門的な知識を持っているの?と疑問になる部分もありました。ただ、同時に「本当にそれできるの?」という疑いもありましたが、この業務体制が変わるならという希望と彼への興味もあったので半分ダメもとで発注してみることにしました。プロジェクト期間は3ヵ月。まあフィリピンなので期日や納期は予定より伸びるのが普通。一応4か月をみてプロジェクトが始まりました。

現地フィリピン人スタッフは常にコミュニケーションを取っていますが、我々日本人は基本的に隔週の進捗ミーティングのみの参加でしたので月2回程度しか話すことはありませんでした。そして4回目の進捗ミーティング(2ヵ月経過)で最終フェーズに入っていることを聞かされて耳を疑いました。このペースでいくと予定期日より1週間前後早く完了することになりますが、我々側のオペレーション体制が全く整っていませんでした。急いで準備を進めましたが、間に合わず、まさかの弊社がプロジェクトを遅らせてしまう始末。期日より早くプロジェクトを完了させる会社は、先にもあとにもこの会社だけです。もちろん品質や精度にも問題はありません。
なんとか1週間程度の遅れでオペレーション体制が整い、新体制で業務が始まりました。最初は少しトラブルもありましたが、新体制になり1か月が経過したころには、業務時間が50%以下になった作業もあり、十分すぎる結果となりました。

後日、上で登場した会長も含めてまた3人で飲んでいると、プロジェクトが1週間遅れた話題になり、そのIT企業の社長さんに謝ると、皮肉を込めて「いいですよー。フィリピンなんか遅れて当然ですから~」と笑顔で返されて、平謝り。笑

その後、この日系IT企業には様々な業務改善を依頼して、私自身の仕事も大幅に軽減されていきました。1つ例を挙げると、フィリピン側の業務報告書を日本本社へ毎週作成するのですが、いろいろなエクセルファイルを集めて集計したり、過去にはデータが取れな部分もあり、なんとなく書いて提出したりと効率や精度が最悪でした。
ただ、データが取れない業務工程の数値化もできるようになり、エクセル管理もシステム移行するなどして業務報告書は指定フォーマットでほぼ全自動となりました。
今までは半日かけて作っていた報告書が数秒で完成するようになりました。また何となくの部分も業務実績のデータを参照できるようになり、社内の業務にも役立つようになりました。
このIT企業はフィリピンで日系顧客が増えたこともあり、今年(2023年)に日本へ法人を設立したようなので、一応紹介しておきます。日本でDX関連のお仕事があれば必ず力になってくれます。
株式会社REYONA

このフィリピン駐在では本当に色々な思いでができ、いろいろな方にお世話になります。ただ、私は彼の仕事振りも好きでしたが、何より彼の生き方に感銘を受けました。
もし、フィリピンで事業をする際には、本当に品質の低さや嘘、納期の遅れなどに悩まされますので、信頼できる業者を探せるかがポイントとなります。
長々と有難うございます。